杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

みなさまはじめまして

 みなさまはじめまして。

 三橋要一郎先生の元で修習をさせていただいている、司法修習生の松下健治と申します。弁護修習も早いもので1か月が経過しましたが、ここまでは弁護士の先生方や事務局の方々のもとで、大変充実した時間を過ごさせていただいています。素晴らしい事務所でご指導いただけて、感謝に堪えません。そして、このように皆様からあたたかく迎えていただいているにもかかわらず、このエッセイの原稿の締め切り期限を普通に踏み倒してしまい、大変申し訳ありません。今後は書類の提出期限を守れる人間になれるように気を付けたいと思います。
 仙台で暮らし始めて3か月になりますが、過去の修習生の方もおっしゃっているように、暮らしやすい街だなという印象を受けます。仙台は真夏日と真冬日の合計日数が日本の中でもかなり少ない方だという話を聞いたことがありますが、そういった気候の過ごしやすさという面のみならず、様々な面で仙台の魅力を日々感じ取っているところです。例えば、お酒です。私は三度の飯よりも酒と言えるくらいお酒を飲むことが大好きなのですが、宮城県の日本酒は種類も多く、どれもおいしくて、「こんなお酒があったとは!」と大変感動してしまいました(特に「伯楽星」がおいしいと思いました)。お料理とあわせても、あるいは単体でも楽しめて、日本酒初心者の私でも口の中が幸せいっぱいです。先日は勾当台公園で中田英寿がプロデュースした日本酒イベントがあったり、普段から様々な種類の日本酒を扱うお店が多かったりと、仙台では日本酒がとても推されている部分があると思うので、この機会に宮城県、そしてその他の東北の県の日本酒を数多くたしなみたいと思います。
 弁護修習も残り3週間ほどになりました。気が付けばお酒についてだらだらと書いてしまいましたが、ただの酒飲みで終わってはいけません。アルコールばかりでなく、弁護士としての業務のやり方もきちんと吸収していきたいと思っておりますので、残りの期間も一日一日本気で取り組んでいこうとあらためて気を引き締めたところでこの文章の方も締めさせていただきたいと思います。
(司法修習生 松下健治)

戊辰150周年

 先日、「みやぎ会津会」の総会に出席してきました。「みやぎ会津会」は、宮城県内在住の福島県会津地方の出身者やゆかりのある方の有志の集まりであり、毎年1回の総会のほかにも定期的にイベントが開催されています。私自身が前回参加したのは震災前でしたので、実に7年ぶりでした。

 大勢が集まる会合は苦手な方ですが、出席者の世代や職業は様々でも、故郷が同じということだけで会話が途切れず、また、独特な会津なまりで埋めつくされた会場は懐かしくほっとするものがあり、居心地の良さがありました。

 大学進学時に地元である会津若松を離れて早20年となり、地元で育ち過ごした期間よりも、他の土地(東京、仙台、沖縄)で過ごした期間のほうが長くなってしまいました。近頃は、それなりに齢を重ねたせいか、会津の出身であることの誇りや地元への愛着を感じるようにもなってしまいました。

 仕事などでお会いした方が会津出身であったり、さらには普段「会津」ナンバーの車を路上で見かけただけで、無性に親近感を持ってしまいます。地元へ帰る際も、磐越自動車道を郡山から会津若松方面に向かう道中、右手に磐梯山が見えてきたり、磐梯河東ICを越えて会津盆地が一望できる辺りにさしかかると、「帰ってきたなぁ」と帰る度にしみじみします。大河ドラマ「八重の桜」のオープニングをみるたびにも懐かしく感じていました。田舎者の強がりかもしれませんが、誇れる田舎があるというのは有り難いことだなと感じます。

 今回の総会は「みやぎ会津会」設立10周年という節目の会であり、また、戊辰戦争が始まって150年(さらに当日はちょうど150年前に京都で鳥羽・伏見の戦いが始まった日)ということで記念シンポジウムも開催されました。今年は政府などでも明治150年あるいは明治維新150周年と位置づけていますが、会津若松市では会津藩からの視点であくまで「戊辰150周年」ととらえ様々な記念事業を予定しているそうです。

 自分自身は武家の家系の血筋でも何でもありませんが、小さい頃から、白虎隊の歴史本を読まされ、事あるごとに「ならぬものはならぬ」と叱られて育ちました。中学生の頃には、毎年秋に開催されている会津まつりの会津藩公行列で白虎隊に扮して参加した(させられた)こともありました。また、会津を離れてからも、年長の方々から目を掛けてもらうことがしばしばあり、勤務していた会社を退社し法曹を目指すことにした際には、会社の大先輩(上司の上司の上司)から、餞として、柴五郎(会津藩出身の明治時代の偉人)の著作を頂き、激励されたこともありました。現在の自分があるのも、会津という雪深い田舎で、地元の歴史に否応なしに触れながら育ったからこそだと思います。

 今回、苦難に直面し乗り越えてきた会津の先人たちの歩みに久しぶりに触れ、意外にも自分が地元の歴史に興味をもっていることに気付きました。現在では会津を離れてしまいましたが、これをきっかけに自分自身が地元の歴史を学ぶことで、子どもたちの世代に少しでも会津人としての誇りを引き継がなければならないなと思いを新たにした休日でした。

(弁護士 三橋要一郎)