杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

弁護士 阿部  長

雑感(高齢者問題について)

平成が終わり令和となった。 日本にとって平成の時代は戦争のない平和の時代であった。 しかし、災害の多い時代だったとも言われている。 何時の時代でも災害は有るものだが、確かに平成の時代には大きな災害が多かったのは事実である。 しかし、それは日本…

命令

1 時が経つと色んなことが判ってくるものである。 先日鴻上尚央氏作の「不死身の特攻兵」という本が出版された。「軍神は何故上官に反抗したのか」という副題をみて、私はすぐこれは佐々木伍長のことだと判った。かねて私は軍神となり乍ら生きて帰り何回か…

勅使河原先生を想う

私が昭和40年弁護士登録以来現在まで、公私ともにお世話になった恩師勅使河原安夫先生は本年8月28日午前10時32分静かに天に召された。92才の誕生日である9月6日を目前に、安らかに、本当に安らかに亡くなられた。 先生は、大正14年現在の仙台…

責任のとり方

「記憶にございません」 昭和51年、戦後最大の疑獄事件といわれるロッキード事件において、田中角栄元総理大臣の刎頸の友といわれた小佐野賢治氏が国会における証人尋問において連発して有名になった言葉である。 それが、今度は築地市場の豊洲移転をめぐ…

夏の終わり

8月も終わり9月の声をきくと、何となく秋が近づいてくるのを感じる。 堀辰雄の「風立ちぬ、いざ生きめやも」ではないが、もう1年の半分以上が過ぎ、今年も残り3分の1かと思うと驚きと共に少し寂しさも覚える。 それにしても今年の夏も暑かった。 毎年8…

申(さる)年

今年は申年。私は干支(エト)でいう年男である。干支は十二支と十干(ジッカン)の組合わせなので正確には60年に一度の丙申(ヒノエ・サル)である。 物の本によると、申は、年では7月、時間は15時から17時、方角は西南西(西から南へ30度)五行(…

70年そして50年

今年は戦後70年になる。 その70年前の昭和20年8月15日は、今年に劣らぬ暑い日であった。 当時、私は旧制石巻中学校に入学したばかりの一年生で、8月15日は仙台陸軍幼年学校の受験のため石巻市桃生町の自宅で仙台に出かける準備をしていた。 その…

「まさか」の「さか」再び? ~東北薬科大に医学部が~

さる2月3日の某紙に「東北薬科大‘四面楚歌’」との見出しで、同薬科大に医学部を設置するために設けられた運営協議会が当初から紛糾し、「生みの苦しみ」に直面していることを伝えていた。 もともと、同協議会の設置は、文部科学省が本年3月末とされる医学…

「まさか」の「さか」~東北薬科大学に医学部が~

かねて東北に新設されると言われていた医学部が、東北薬科大に設置されることになったと8月29日付各紙が伝えている。 その前日頃から東北薬科大が有力らしいとの報道が流れ、私は「まさか」と思っていた。というのは村井知事主導のもと、宮城県が県立であ…

海と風と町と

あの忌まわしい大震災から3年が経つ。 先日、自宅で書類を整理していたら、一冊の写真集と古い新聞が出てきた。 写真集は、震災の年である2011年の10月1日付で「みやぎの思い出写真制作委員会」が震災からの一日も早い復興を願って発行した「海と風…

楽天の優勝

東北楽天がプロ野球パ・リーグで球団創設9年目で悲願の初優勝を果たした。地元仙台に住む者として喜ばしい限りである。 仙台弁護士会にも野球部があって、日弁連の野球大会でも大活躍している様であるが、昭和1桁生まれの私の子供の頃は、野球がスポーツの…

震災と復興-人口減に対応して

悪夢のような東日本大震災から満2年が経過した。しかし、被災地の復興は未だしである。そこに追い打ちをかけるような報道が先日行われた。国立社会保障・人口問題研究会が発表した2040年までの将来人口の推計である。 少子高齢化が叫ばれて久しいが、2…

入院

私は、昨年9月から今年の7月まで、前後2回にわたり約10ヶ月間東北大学病院に入院した。この間多くの方々にご迷惑をおかけし、また同時にご心配を頂き感謝に絶えない。お陰様で本年7月末無事退院し、多少なりとも仕事ができるまでに回復した。そこで、…

ふるさと受難

石巻は、私が生まれ、育ち、そして高校3年まで、いわゆる青春時代を過ごした「ふるさと」である。 当然ながら今でも多くの知人、友人がおり、私の生家も石巻市桃生町に存在していた。 それが3月11日の大震災で全く変わってしまった。 地震と津波に襲われた太…

検察審査会

さる10月4日東京第五検察審査会は、小沢一郎、元民主党幹事長に対し「起訴すべき」との2度目の議決を行い、小沢氏は強制起訴されることになった。 検察審査会法は昭和23年(1948年)施行なので平成20年(2008年)で60年経たことになる。同…

野良猫

先日(5月14日)の新聞に「加藤もと名人に禁止命令」という見出しで、東京三鷹市の集合住宅に住んでいる将棋の加藤一二三もと名人が野良猫に餌をやり、糞尿などで迷惑しているとして、付近住民らの起こした訴訟の判決が13日に東京地裁立川支部であり、…

むかつく

裁判員制度が5月21日に施行されて半年が経過した。仙台地裁3件目の裁判員裁判がさる11月19日に開かれ、被告人質問で50代の男性裁判員が「むかつく」と感情をあらわにした発言をしたとして話題になった。 「むかつく」とは広辞苑では①むかむかする…

嘆かわしいこと

先日7月14日付の日弁連ニュースによると、8月3日以降被疑者国選事件の報酬を請求する際は、法テラスが定める細則に基づく接見資料の提出が必要になるという。具体的には警察の留置施設で被疑者と接見する際、「国選弁護」と申し出て、担当者から面会簿…

斎藤報恩会-自然史博物館の閉館-

2月14日地元紙夕刊に斎藤報恩会自然史博物館が来月閉館し、収蔵品十数万点は既に東京の国立科学博物館に寄贈済みであることが報じられていた。私は戦後間もない廃墟の仙台にあって、一際目立つアメリカ文化センターに何度か通い、外国の文化に触れる数少…

出会い

東北大学が東京・京都に続き、全国3番目の帝国大学として仙台に設置されたのは明治40年、西暦で言うと1907年であるから、昨年は大学設立100周年に当たる。昨年3月に井上明久総長を中心とする大学当局は、所謂「井上プラン2007」を作成し、「…

畏友 近江恵一君を偲ぶ

今日6月10日は、私の畏友近江恵一君の49日忌に当たる。 今でも彼の死が信じられない。それだけ突然の別れであった。 私達は昭和20年4月、太平洋戦争も末期、沖縄戦の最中に、一緒に県立石巻中学校に入学した仲間であった。 中学に入ったものの、勉学…

懐かしい古い顔

昨年の12月、梅津昭一さんが亡くなったとの報せを今年になって聞かされ、一寸ショックであった。 梅津さんは昭和5年生まれ、旧制仙台一中から旧制二高最後の新入生として同校の理科にトップで入学したという秀才であった。戦後の学制改革により旧制二高は…

つもり違い十ヶ条

安倍総理が突然辞任して政局の混乱は暫く続きそうである。久しぶりに派閥の会合に出席した小泉元総理が、「人生には上り坂もあれば下り坂もある。しかしもう一つ「まさか」という「さか」もある。安倍さんが、まさか、こんなに早く辞任するとは思わなかった…

法曹倫理

今年も7月になった。早いもので、もう今年も半分を過ぎたことになる。 あと半年、これからどんなことが起こるだろうか。楽しみなことは9月になると、現在司法修習中の伊藤君が、晴れて弁護士として当事務所に入ることだ。併せて、当事務所も弁護士法人化を…

世界は一つ

先日の新聞に年内にも上海~シンガポール間7000キロを結ぶ大型トラック用道路が完成することが伝えられた。その間6カ国(中国・ベトナム・ラオス・タイ・マレーシア・シンガポール)を結ぶもので、今までの船便では2週間以上かかっていたものが、10…

夕張市

いざなぎ景気を超える好況だそうで、先日の新聞でも銀行の多くは増収・増益の見込みと報じられている。 しかし一方で、不況から脱しきれない企業も多く、勝組・負組の差が歴然としてきた。私企業だけでなく、公共団体も例外ではなく、例えば夕張市。破綻した…

付帯私訴

最近の新聞報道によると、法務大臣は法制審議会に対し、今年10月にも付帯私訴制度創設を諮問し、早ければ同制度を盛り込んだ刑事訴訟法の改正案を来年1月招集の通常国会に提出されると伝えている。 付帯私訴とは一口に言えば、「刑事訴訟の際に損害賠償に…

結婚式

去る5月21日、仙台市内のホテルで、私共の事務所に勤務するMさんの結婚式が行われ事務所からはパートナーの佐藤先生の外5名が出席しました。当日は雲一つない文字通りの日本晴れ、5月の薫風が爽やかに吹く結婚式としては最高のお日和でした。 Mさんは…

ライブドア事件

東京地検特捜部が証券取引法違反容疑でライブドア本社などの家宅捜索をしたのはさる1月16日、そしてホリエモンこと堀江貴文氏が逮捕された1月23日からもう2ヶ月を経過した。ニッポン放送株の大量取得でフジテレビとの間で連日茶の間のテレビを賑わし…

丙戌

今年は新年早々から色んな事件が発生し多事多難な年の始まりになった。その中でも日本海側の大雪には心が痛む。屋根の雪降し作業での死亡者が1月中旬で既に100名を突破してしまった。しかもその犠牲者の大半が60代・70代の老人であり80代・90代…