杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

密なガッツポーズ

 ここ10年間あまり、仙台市宮城野区の選挙管理委員会委員を務めています。毎月の委員会にはもちろん出席して議題を審議するのですが、具体的に選挙があれば、その開票にも立ち会うのが職務の1つなのです。今年は沢山の選挙がありました。衆議院の補欠選挙、市長選挙、思いがけない衆議院総選挙、そして知事選挙。1年間に4回も選挙があるというのは極めて珍しい当たり年です。開票には始めから終わりまで立ち会いますので、遅くなると家に帰るのが翌日の午前2時とか3時になることもあるのです。

 選挙管理委員は中立公正な立場ですので、どのような選挙でも候補者や政党と関係することはありません。しかしながら9月の衆議院総選挙だけは特別な思いでした。何と10年前に私の事務所で司法修習を行った牧原秀樹弁護士(34歳)が埼玉5区から出馬したのです。彼は東京の大きな法律事務所に就職した後、ニューヨークに留学、同州の弁護士資格も取得し、帰国した後は経済産業省で通商交渉に従事していたのです。今年の春にも仙台に遊びに来てくれ、その時政治への強い思いを語っていたのです。いつかは政治家になる日が来るのかなと思っていたのですが、こんなにも早く彼の夢が実現したのは正直言って驚きでした。選挙の日に、深夜遅く彼の当選が決まった時は、開票所で密にガッツポーズを取ってしまいました。

 私は今までに4人の司法修習生の指導を担当しました。その内2人が裁判官、2人が弁護士として巣立っていったのですが、今回その中の1人が政治家に転身したことになります。私は本当に周りの人達に恵まれており、修習生の皆さんもそれぞれに違う個性を持った、とても素晴らしい人達でした。現在4人とも幅広い分野で大活躍していますので、私も教え子に負けることなく良い仕事をするために、日々頑張らなければならないと、思いをあらたにしています。

 (弁護士 佐藤裕一)