杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

プラハに行かざるの記

 「プラハ!」という映画をご覧になったでしょうか。9月末から10月はじめにかけて、いかにもひっそりという感じで公開されましたので、ご覧の方は少ないと思います。これが、昔中学生の頃見た「碇を上げて」とか「踊る大紐育」などを思い起こさせる素敵なミュージカルでした。1968年のワルシャワ条約軍のチェコ侵攻をバックにしているので、後半「花はどこへ行った」、「思い出のサンフランシスコ」などの曲が効果的に使われていました。

 この1968年の夏(もはや38年前!)には、いささか思い入れがあります。60年代初めから始まるチェコの民主化(市場経済化と言論の自由の拡大)は、68年に入りドプチェクが党第1書記に就任すると最高潮に達しました。世にいう「プラハの春」です。そしてこれを座視できなかったワルシャワ条約機構が、大軍をもって国境を越えたのが8月20、21日でした。この年私は、最初の留学でドイツ(当時は西ドイツ)、バイエルンの田舎でドイツ語の研修をしていました。日本を発って10日目ぐらいのある日の朝、民宿の小母さんが、「ロシアの戦車がチェコに入った」と興奮して教えてくれたのを鮮明に思いだします。

 その後、チェコの人々は永い苦難を耐え、89年頃からハヴェル大統領のもと民主化をすすめ、2004年にはEU加盟を果たしたことは記憶に新しいところです(なお、チェコスロバキアは分かれて、現在ではチェコとスロバキアという二つの国になっています)。

 ところで、そのプラハですが、何度も行くチャンスがあったのですが、掛け違ってまだ訪れていません。ことにドイツ統一後ドレスデンに遊んだときは、そこからバス旅行で簡単に行けると聞きましたが、ビザを取ってなかったので、止めてしまいました。いずれゆっくりと「黄金の町」、「百塔の町」を訪れたいものです。

 (弁護士 阿部純二)