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杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

斎藤報恩会-自然史博物館の閉館-

 2月14日地元紙夕刊に斎藤報恩会自然史博物館が来月閉館し、収蔵品十数万点は既に東京の国立科学博物館に寄贈済みであることが報じられていた。私は戦後間もない廃墟の仙台にあって、一際目立つアメリカ文化センターに何度か通い、外国の文化に触れる数少ない場所であっただけに感慨深いものがあった。

 斎藤報恩会博物館は、昭和8年に東北地方に関する自然史関係の学術研究と一般研究者の利用の便を図るとともに、併せて一般市民に対する科学知識の普及を計ることを目的として設立されたもので、このような博物館は東京上野の国立科学博物館に次いで日本で二番目に設立されたものという(「斎藤報恩会自然史博物館の歴史」増田孝一郎より)。もともと財団法人斎藤報恩会は、東北地方有数の大地主であった桃生郡前谷地村(現石巻市河南町)の斎藤善右衛門が大正10年(1921年)、当時としては極めて莫大な300万円という大金を支出し、これを基金として設立されたものである。財団は2年後に正式認可され、学術研究事業、産業開発事業、及び社会福祉事業の三つを事業目的としていた。そして学術研究のための研究費補助として、基金から生ずる利息から毎年約20万円を支出していたという。このことは西澤潤一先生も「東北大学は斎藤報恩会あっての大学である」と書いておられることからも明らかであろう。

 昭和20年7月の仙台大空襲で会館の主要部分が戦災を受け、一時休館されていたが、昭和23年に仙台アメリカ文化センターとして開館された。私の自宅は当時から会館のすぐ近くにあり、私の郷里も河南町の隣町であったこともあって、博物館の閉館は惜しまれてならないのである。

 (弁護士 阿部 長)