杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

冬将軍

ウー寒い。今年の冬将軍は、なかなかしぶとく強力です。今は大寒だから仕方がないんですかね。ご存じのとおり、大寒というのは二十四節気のひとつで、今の暦では1月20日ころから2月4日の節分の前までをいうようです。毎朝時計代わりにBSニュースを見ていますが、イギリスも年末から年始にかけて猛烈に寒かったらしく、BBCニュースのタイトルは “ Frozen Britain”となっていました。これを真似れば「凍てつく(あるいは凍える)日本列島」といったところでしょうか。

 冬が好きという人もいます。作家の上林 暁は、ウインタリスト(冬主義者)と称して、荒涼とした冬の空気と風物だけが自分にとって親愛なものである、と書いています。もちろんそのときの作家の精神状態も関係しているでしょうが、それを措くとしても、これは温暖な高知(上林は高知の人)や東京の冬を念頭においてのことでしょう。東北の人間は、冬が嫌いというわけではないが、なかなか冬主義者とまでは名乗れないのです。また外国人(欧米人)はよく「日本の冬は素晴らしい」というそうです。たしかに空気が澄んで、冴えた青空から太陽が照りそそぐ風景は素晴らしいと思いますが、これも東京あたりの気候を標準にした話と思います。

 私は日本海側の出身ですので、雪と寒さはイコールと思っていましたが、太平洋岸側にきて雪のない寒さというものを知りました(雪のある暖かさも)。それで雪と寒さのどちらが好きかというと、私は(大方の人もそうだと思いますが)雪の方が好きです。月並みですが、天然現象のなかでもっともロマンがあるのが雪です。霏々として降る雪を見ていると人は詩人になります。また雪は人の心を落ち着かせ、来し方行く末を考えるよすがともなります。豪雪で屋根の雪下ろしに苦労されている方々に思いを馳せつつ、この寒さを乗り切りましょう。

 (弁護士 阿部純二)