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杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

民法の改正

現在、法務省の法制審議会において、「民法」についての大幅な改正議論が急ピッチで進んでいます。現時点でのスケジュールでは、再来年初めには再度パブリックコメントに付され、遅くとも三年後には法案として確定することになるものと思われます。

 民法は、財産や取引関係、家族・相続など、一般国民の生活に直結する幅広い権利義務関係について定められた法律です。明治29年(1896年)の制定以来、特に財産法分野については、第二次対戦前後を通じて大幅な改正を経験することなくきました。つい5、6年前に現代語化されるまでは、「第1条 私権ハ公共ノ福祉ニ遵フ」といったようにカタカナまじりの規定ばかりで、大変取っつきにくい法律でもありました。

今回の改正は、財産法のうち債権法分野に関するものです。したがって、改正により売買や請負、保証といった身近な取引・法律関係にも影響が出てくることになります。内容的にも、消滅時効期間の短縮化や瑕疵担保責任の債務不履行責任への一本化など、大胆な改正が検討されています。

 今回の民法改正は、国民生活の全般に直結する重要な改正です。百年以上前に制定された法律ですので現在の社会情勢に応じた改正は必要ですが、逆にこれまで民法に従って社会が回ってきたという側面もあります。したがって、性急な改正により社会が混乱しないよう、じっくりと腰を据えて、かつ一般国民にも内容が分かるように議論を進めていくことが本来必要です。

しかし、現在の法制審での議論については一般の人たちには目も触れられることなく、スケジュールありきで拙速に進んでいる気がします(たいていの法改正はそうかもしれませんが)。仙台弁護士会でも、他の弁護士会と同様、検討プロジェクトチームを立ち上げ、今次の改正が一般市民にとって悪い方向に進まないよう検討し、意見書を提出しています。しかし、法制審での審議のスケジュールは極めてタイトであり、我々も弁護士業務や他の委員会活動をしながらの対応なので、正直なところ、ほぼ2週間に1回のペースで出される数十頁の資料をくまなく検討するのは困難です(私自身、こんな記事を書いておきながら何ですが、最近は本業に追われPTには十分に参加できていない状況です。)。そもそも法制審においてでさえも、議事録を見る限り、時間切れで検討未了となっている部分も多く、十分な議論が尽くされているとは言えない状況です。改正スケジュールばかりが一人歩きして、不十分な内容の改正とならないか心配なところです。

 とは言っても、三年後に実際に民法が改正されてしまえば、我々としても対応しなくてはなりません。特に、すべての法律の基本となる民法の大幅な改正となるため、弁護士としても一から網羅的に勉強し直すことが求められます。弁護士も、司法試験をクリアすればそれ以上勉強しなくて良いという訳ではなく、むしろスタートラインに立ったばかりで、無事引退するその日まで常に勉強に追われることを痛感させられる今日この頃です。

(弁護士 三橋 要一郎)

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