杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

小さなバッヂ

 昨年末から司法修習生として杜協同法律事務所にて研修をさせていただいております、鈴木崇裕と申します。復興元年と称される今年、新進気鋭の法曹として颯爽と社会に飛び出す(予定の)私にいま何ができるか、何をすべきか。その答えを見つけるべく、4列シートの夜行バスに揺られること5時間半、生まれ育った東京から仙台までやってまいりました。

 さて、金色に輝く弁護士バッヂは最近のドラマや映画でお馴染みかもしれませんが、実は司法修習生にもバッヂがあります。「jurist(法曹)」の頭文字「J」の筆記体を模り、紺、赤、白の3色に塗り分けられた小さなバッヂです。一人暮らしにも慣れ、遅刻ギリギリまで布団にもぐっているせいで毎朝慌しく準備をするこの頃の私ですが、スーツの襟に修習生バッヂを付けるという所作にだけは、今でも緊張感と高揚感を覚えます。ヒンヤリとして、ズッシリとした重みを感じるそのバッヂを身に付けると、寝ぼけ顔も少しだけ引き締まるのは、初めて付けた日の喜びとやる気を思い出すからかもしれません。社会人として、法曹としての自覚に背筋を伸ばし、どんな新しいことを学べるだろうという期待に胸を高鳴らせ、今日も元気に頑張るぞ、と勢い良く玄関ドアを開いて駆け出す日々を送っています(遅刻しそうだという理由も否定はできませんが…。)。とにかく私にとってこの小さなバッヂは、自らの志と誇りと責任の象徴です。

 現在仙台には40余名の司法修習生がおります。昼休みの食堂や夕方のカフェ、深夜の居酒屋で、スーツの襟に小さなバッヂを付けて、目を輝かせて議論しているグループを見かけたら、もしかしたら司法修習生かもしれません。どの者も情熱と希望に満ち溢れ、この仙台で日々懸命に修習に励んでおります。議論が多少白熱していても、どうか温かく見守ってください。あんまりうるさいようでしたら、コラ!修習生!と一声かけてください。皆一様に自分の小さなバッヂを確認して何かを想い、途端に大人しくなるはずです。

(新第65期司法修習生 鈴木崇裕)