読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

老ツーキニストは語る

弁護士 阿部 純二

 今の家から大学、事務所に通勤してほぼ30年になります。バスで1回乗り換えて約50分です。さすがにこの年齢で通勤している人は少ないでしょうが、高齢者の乗客じたいは(時間によっては)大変多いようです。これは、まったく敬老乗車証のおかげと思われます。

 私は始発から乗るので席を選べますが、やっぱり一人掛けの席が良く、二人掛けの席は初めは広々しているが、必ず後から詰めてくるので、閉所恐怖症気味の私には苦手です(これは、飛行機でも映画館でも同じで、だいたい通路側の席をとります)。通路側に座ればよいわけですが、通路側に座って後から乗ってきた人を窓側に押し込める度胸はないので、どうしても前から乗っていると窓側にならざるを得ないのです。案外人気のあるのが最後尾の席で、ここは通路がなくずっと席になっているので、その分ゆったり座れます。

 帰りは照明について注意が必要です。車種にもよるのでしょうが、市バスの場合向かって左側(入口、出口側)は照明が暗く、右側は3個ランプが点いているので比較的明るい。本を読む人は右側の方がよいでしょう。

 マナーですか。そりゃあ昭和2、30年代の「日本満員」の様子を知っている者から見れば、今は上品なものです。待合所(ここ2,3年主要なバスストップは屋根付き、ベンチ付きとなって、先進国として恥ずかしくないものになりました)の行列に割り込む者はいないし、たまにいても喧嘩腰で咎める人もいません。また、この頃の若い人は高齢者とみると、よく席を譲ってくれます。粋がって遠慮する年齢もとうに過ぎましたので、ありがたく座らせてもらっています。

 ひとつ気になるのは、二人掛けの席で先客がいる場合、後から座る人が声をかけることが殆どないことです。同じ料金を払っているのだから、客の権利としては平等だという理屈はわかりますが、何も言わずに尻だけ向けてくるというのはdecencyに欠けるように思うのですが、どんなものですかね。私は「すみません」などと声をかけるか、せめて会釈して座るようにしています。携帯電話は注意が徹底してきて、傍若無人の振る舞いはなくなりました。もちろん車中からかける人はいませんし、かかってきても車内だからと早めに切り上げる人が大半のようです。

 敬老乗車証は仙台市の数少ない善政でした。第1種の場合、5000円の負担で1年間バス、地下鉄に乗り放題です。簡単に計算してみますと、わたしの場合、料金が往復で880円ですから、月20日出勤するとして、

     月にして  880×20=17、600円

     年にして  17600×12=211、200円

となります(定期券、バスカードを利用すればもう少し安くなる)。いかに仙台市の財政負担が大きいか一目瞭然です。という次第で、財政逼迫の折から今年10月からこの制度は改訂され、新しい制度は格段に高齢者の負担を高めるもの(原則10%負担)になるようです。まあ仕方のないことでしょうね。

(弁護士 阿部 純二)

広告を非表示にする