杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

楽天の優勝

 東北楽天がプロ野球パ・リーグで球団創設9年目で悲願の初優勝を果たした。地元仙台に住む者として喜ばしい限りである。

 仙台弁護士会にも野球部があって、日弁連の野球大会でも大活躍している様であるが、昭和1桁生まれの私の子供の頃は、野球がスポーツの中で一番の花形であった。川上・大下・藤村らに代表されるスラッガーの赤バット・青バット、物干し棹を真似して色を塗った棒きれを振り回し、時には別当・小鶴といった選手にもなり、投手になったり野手になったりして遊んだことを想い出す。

 何せ上海事変から太平洋戦争と続く食べ物も遊び道具も何も無い時代であったから、石ころを雑布で包んでボールを作り、キャッチャーの代わりに板戸を立て、最低2人以上集まれば出来るスポーツであった。

 オリックスと近鉄の合併による球界再編を経て、IT企業である楽天が新球団を創設した時は、優勝を争える球団になるとはとても想像できないことであった。何せ目ぼしい選手としては近鉄のエースであった岩隈ぐらいのものであり、初代田尾監督はさぞ苦労されたことであろう。それが野村監督となり、田中投手をドラフト1位で獲得してシーズン2位となって、クライマックスシリーズで敗れはしたものの、この頃から、あるいは優勝もと期待したことであった。

 今年は星野監督のもと、ジョーンズ、マギーというMT打線に加え、岩手出身の銀次をはじめとする若手の成長もあって、残り試合10桁でマジックが灯くという圧勝であった。圧巻は田中投手の開幕22連勝で、特に優勝を決めた9月26日のゲーム、最終回最後の8球すべて外角ストレート、西武の3番・4番打者を連続三振のシーンは正に感激ものであった。

 これからクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズでジャイアンツを破って、文字通り日本一のチームとなることを期待している。

(弁護士 阿部 長)