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杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

相撲王国青森の残念なニュース

 私の故郷である青森県は「相撲王国」と呼ばれることがあります。古くは二代目若乃花、隆の里などといった横綱を輩出しました。私に物心がついてからも、現在は横綱・大関を擁する部屋の親方を務めている元横綱・旭富士のみならず、舞の海や高見盛などといった個性的な人気力士を輩出しました。本原稿を書いている平成27年7月末時点において、幕内には安美錦、宝富士などといった個性的な力士がおり、土俵を盛り上げています。
 このように、相撲界には青森出身の力士が常に多く在籍しているということもあり、青森県民にとって相撲は身近な存在であるといえます。少なくとも私が青森に住んでいた頃は、平日夜に放送される地元のニュース番組において、本場所開催中、序の口から幕内まで全ての力士の取組結果が伝えられていました。そのため、ニュースを見ているだけで自然と力士の名前を覚えていったものです。中学や高校のクラスにおいては、県出身力士の取組みが話題に出ることもありました。
 そんな相撲王国・青森県にとって残念なニュースが、最近2つほど飛び込んできてしまいました。
 一つ目は、元大関・貴ノ浪の死去です。
 貴ノ浪関は、若貴ブーム真っ直中の頃に活躍した力士です。相手を吸い込むように抱え込んだ上で相手を土俵の外に出すといったスケールの大きな取り口や、力士としては珍しいくらいの軽妙な語り口が印象的な力士でした。
 貴ノ浪関は平成6年1月場所後に大関となり、一度関脇に陥落したものの、またすぐに大関に復帰し、最終的には平成12年5月場所までの長い間、大関を務めました。私は平成10年の3月まで青森に住んでいたので、貴ノ浪関の最盛期を地元青森で見ていたことになります。
 一度大関から陥落しながらも大関に復帰できたこと、再度の大関陥落後は体の不調と闘いながらも長らく力士を務めた点などから、何事も諦めず最後まで頑張るべきことを学べた気がします。本年6月に43歳の若さで亡くなられましたが、あまりに早い死は残念でなりません。
 二つ目は、若の里関の引退が事実上決定的となったことです。
 若の里関は私と同じく弘前市の出身です。どうやら実家が近いらしいということもあり、親近感を持っておりました。
 若の里関は関脇を実に17場所もの間務めており、長い間大関候補と呼ばれ続けていた存在でした。しかし、怪我が多かったことなどから、残念ながら大関昇進の夢は叶いませんでした。平成17年9月場所後に関脇から陥落して以降は平幕以下で相撲を取り続けていましたが、本年7月場所の成績不振により、幕下陥落が決定的となってしまいました。本原稿を書いている時点では正式な引退表明はありませんが、各報道によると、どうやら幕下で相撲を取ることはないようです。
 大関候補と呼ばれ続けた力士が平幕、さらには十両に落ちても相撲を取り続けるというのは、本人としては正直辛い面があったかもしれません。それにもかかわらず相撲を取り続けたのは、何より相撲を取り続けることが大好きだったからだと思います。
 弁護士業には定年がなく、力士と比べると随分長い間働くことができる職業です。私としては、今の仕事に愛着をもって、可能な限り長く続けていきたいと再認識した次第です。
 このように相撲王国・青森県にとって残念なニュースが2件続いたのは辛いところですが、残念なニュースの後はきっと明るいニュースがあるはずです。影ながらですが、これからも故郷の力士が相撲を盛り上げてくれることを期待しております。
(弁護士 赤石圭裕)