杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

役行者石像

 事務所の隣りにある良覚院については前回書いた。その良覚院公園の一角に珍らしい古びた石像がある。役行者(「エンノギョウジャ」と呼ぶ)の石像である。

 平安朝の初め頃、天台・真言二宗の密教と我が国固有の山岳信仰が結びついて修験道という宗教が起った。その行者(修行をする人)を修験者又は客僧とも、あるいは山伏とも言い、高い霊山に参籠して修行するのを常とした。平安末期頃当山派と、本山派に分かれて栄え、さらにこれら山伏は諸国を自由に巡回する特権を持っていたので軍事にも政治にも関与したが、平時は祈祷に従事した。

 仙台藩の山伏の総触頭(「ソウブレカシラ」)が良覚院であったことは前回書いた。この良覚院にある石像は、修験道の開祖である役小角(「エンノオズマ」)で役行者とも言った。奈良朝の頃大和葛城山で苦行し霊験を得たという。後に「神変大菩薩」の勅号を贈られ人々に深く信仰されたという。前鬼後鬼と共に、良覚院に安置されていたものである(以上「案内板」から)。

 近くを歩いてみると昔を偲ぶ色々なものが有るものである。

  (弁護士 阿部 長)