ドラッカー氏について
「経営学の父」と呼ばれたピーター・ドラッカー氏が11月11日カリフォルニア州クレアモントの自宅で亡くなられた。95歳ということである。私は勿論直接氏を知らない。
氏について関心を持つようになったのは日経の「私の履歴書」を読んでからである。ハプスブルク帝国の首都ウィーンで生まれた氏は幼いときから高級官僚であった父が自宅を訪れたフロイトやシュペンターらと議論を交わすのに、自分も加わりたくてうずうずしていたというから相当老成した子であったのだろう。
人口動態の分析からソ連の崩壊を予言したのも今から15年も前であるというから驚きである。そして日本にも関心を持ち10数年も前から「人口変化の影響を最も早く、最も強く受けるのは日本である。世界で最も長寿の日本が最も早い定年制を敷いているのは最大の皮肉である」と述べておられるを読み、その洞察の深さに驚きを禁じ得なかった。
英国、民営化の先駆けであり、今、我が国でもてはやされている「分権化」「民営化」「キャッシュフロー管理」なども同氏の造語であり、同氏の唱えた経営手法である。
惜しい人を失ったものである。
(弁護士 阿部 長)