杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

薩摩切り子

 12月に入って忙しい毎日が続いています。何といっても12月は和解や示談が成立しやすいのです。もめ事や争い事をかかえて新しい年を迎えたくないという日本人特有のメンタリティが、解決に向けた大きなベクトルとなっています。それ故に和解に向けた詰めた交渉や、示談文書作成に大きな時間を取られてしまい忙しいのです。

 そんな慌ただしい12月を目前とした11月の末に九州へ旅行してきました。メインは鹿児島です。大河ドラマ「篤姫」ブームで街には活気があふれていました。篤姫の生家も当時の面影を残しており、素敵なお屋敷でした。鶴丸城の城壁には西南の役の際の銃痕跡がくっきりと沢山残されていて歴史を実感しました。

 鹿児島名物と言えば焼酎に黒豚、いずれも十分に堪能してきました。特に黒豚しゃぶしゃぶはバラ肉と赤身肉とロースが全部出てきて驚かされました。黒豚に対抗するのが「白クマ」と名付けられた巨大なかき氷。鹿児島発祥のスイーツで何と子豚の頭位の大きさです。妻の食べる姿を黙って見ていましたが、あの巨大な大きさが瞬く間に胃袋に消えてしまい、ビックリしました。

 そんな鹿児島での最高の思い出は薩摩切り子との出会いです。工場を見学した後に、製品を展示している部屋に入ったのですが、切り子の輝きのあまりの素晴らしさにしばらくは言葉が出ませんでした。藍、緑、紅、金赤、黄、紫といった色とりどりのガラスに施された細工の美しさはまさに筆舌に尽くしがたいとしか言いようがありません。しばらくは切り子の前に立ちつくしてしまいました。ゆっくりと館内をめぐって歩き、全身に切り子の彩と輝きを浴びて、特に気に入った盃を3個もとめてきました。薩摩切り子、我が家の宝物です。

 (弁護士 佐藤裕一)