杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

ジルベスター

 明けましておめでとうございます。皆様のご多幸をお祈りいたします。新年の話ばかりでは曲がないので、今回は元日の1日まえの大晦日のことを書きましょう。

 先々回の「杜の四季だより」で阿部長先生が書いておられるように、先生が建設委員会委員として多大の尽力をされた川内の記念講堂の改修ですが、東北大学の100周年記念事業の一つとして、通称萩ホールとして立派に生まれ変わりました。音響効果抜群の多目的ホールということで、私もコケラ落としの演奏会を聞きましたが、触れ込み通りの素晴らしいものでした。その萩ホールで、大晦日にはジルベスター・コンサートが開かれました。

 ジルベスターとはうれしい。ジルベスターは大晦日のことで、ニュウイヤー・コンサートはウイーン・フィルの独壇場ですが、ジルベスター・コンサートはベルリン・フィルが有名らしい。ところで、ジルベスターとは誰かというと、4世紀のローマ教皇で聖人に列せられている由、この方の命日が12月31日なので、12月31日がキリスト教国の祝日になったようです。もっともジルベスターは、今日では男子人名として普通に用いられているとのことです。シルベスター・スタローン(ご存知「ロッキー」と「ランボー」の肉体派)のように。

 とはいえ私が、外国でニュウイヤー・イブに招かれて、例のカウント・ダウンをやったというわけではありません。むしろ昔の(独り者の)留学生にとってクリスマス休暇というのはどうにもやるせないものでした。店はしまるし、旅行しようにも寒すぎるので、1月2日に平常通りになるのが待ち遠しかったように憶えています。ところで、日本では大晦日といえば紅白歌合戦です。今では衛星放送で中継されるのでしょうが、当時はNHKがフィルムにして後で見せてくれました。私もケルンの大使公邸で、邦人を集めた新年会の席上見た記憶があります。その年(正しくはその前年)の最大のヒット曲はピンキーとキラーズの「恋の季節」でした。今でもこの曲を聴くと当時のことが思い出され、甘い感傷に浸っている次第です。

 (弁護士  阿部純二)