杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

Facebook始めました

 東日本大震災からもう4か月あまりが経過しようとしています。あの凄まじい揺れが、ついこの前のことだった気がする一方、あれからもうずいぶん時間が経ったような気もしていて、時間の流れの感覚にも後遺症が生じているようです。

 震災後に多くの知り合いの方から、お見舞いのご連絡を頂き、美味しいお菓子などをお送り頂きました。ライフラインが止まり、物資も圧倒的に不足している中で、本当に助かり、精神的にも勇気づけられました。「みんなが応援してくれている」、そう感じることが復興へのパワーになりました。

 大学の同級生で今は兵庫県の明石市役所に勤務している中道平一君という友達がいます。震災から2週間経ったある日、彼から手紙入りの小包が届きました。

 手紙には、震災後の私たちの生活や気持ちを心から気遣ってくれる彼の優しさが溢れていました。「募金活動も始めたよ。」との文面通り、街頭でたすきを掛けて募金箱の脇に立ってニコニコ笑っている写真が同封されていました。

 小包を開けると、中には奥様手作りのイカナゴの釘煮が入っていました。イカナゴの釘煮は関西の春の訪れを告げる名物料理なのだそうです。食べてみると、まぎれもない春の味がしました。そして、それまで、春が来たことなど全く忘れていたことに気がついたのです。少しほろ苦いイカナゴの釘煮は本当に美味しく、春の味がお腹と心に深く沁みました。

 

 6月の終わりに思い立ってFace bookを始めました。最近Twitterとともに話題になっているソーシャル・ネットワーキング・サービスのひとつです。ブログやメールなどの情報を実名を前提として友人間で共有・交換していくシステムです。大震災を体験して、友達との絆がいかに大切であるかを身にしみて感じたのが始めるきっかけでした。

   「中道君、3月にはイカナゴの釘煮ありがとう。

    本当に美味しかったし、涙が出るくらいうれしかったよ。」 裕一

 

(弁護士 佐藤裕一)