杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

マイナンバー

 先日、当事務所でも遅ればせながら、事務所内部のマイナンバー(個人番号)の取扱規程を整備しました。マイナンバー制度は、国民一人ひとりに付与される12桁の番号であり、平成28年1月から本格的な運用が始まりました。みなさんのお手元には既にマイナンバー通知カードが届いており、中には写真付の個人番号カードを取得された方もいるかもしれません。また、既に勤務先などからマイナンバーの提供を求められているかもしれません。
 税理士や社会保険労務士とは比べものになりませんが、法律事務所としてもさまざまな場面で皆さんのマイナンバーを取り扱う機会が少なからず出てきます。
 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」という名称のとおり、現在のマイナンバー制度は、税や社会保障の分野でのヒモ付けに留まっています。しかし、政府のロードマップによれば、近い将来には、企業の社員証やキャッシュカード・クレジットカードとしての利用、インターネット上の認証手段など民間分野での利用や診療情報とのヒモ付けなども想定されているそうです。また、平成30年からは預貯金口座をはじめとした個々人の金融資産とのヒモ付けが予定されています(任意とされていますが、運用次第で事実上「義務化」される可能性もあります)。これにより国民の国内財産・お金の動きが正確に把握され、課税が強化されるとも言われています。資産家の間ではマイナンバーが付与される前に国外に移転する等の対策も喧伝されていました。
 個人的にはたいした資産はありませんし、やましいところもないので、公平・適正な課税という点では何ら問題はありませんし、望ましいとも思います。また、利便性が若干向上する面もあるかもしれません。しかし、怖いのはこのように多様な個人情報に結び付きうるマイナンバーが外部に流出・漏洩するリスクです。社会生活をする以上、マイナンバーを第三者に提供しなければならない場面が定期的に生じることは避けられず、かつ、必ずしも提供を受けたその第三者において適正な管理がなされているとの保証はどこにもないのです。現に、平成28年5月の段階で、全国で既に83件の漏洩が報告されているとのことです。
 マイナンバーを取り扱う事業者は、その漏洩、滅失又は毀損の防止その他適切な管理のため必要な措置をしなければならず(法12条)、罰則も定められています。今回規程を整備するにあたって、調べれば調べるほど、マイナンバーについては細心の注意を払う必要があるのだなと認識させられました。
 ちなみに、当事務所では私がマイナンバーの「事務取扱担当者」ですので、当事務所にマイナンバーを提供するにあたって疑問等があれば、お気兼ねなくご連絡下さい。
(弁護士 三橋要一郎)