杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

柏餅の季節に思い出すこと

  5月の連休前に、柏餅を買ってきました。端午の節句も近く、わが家の庭にも青い花がたくさん咲き始めています。
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 司法試験の受験生時代に、大学図書館で一緒に勉強しているちょっとホンワカした純真な後輩をダマそうと、おひな祭りの頃から何人かで計画をめぐらしたことがありました。端午の節句に、彼に柏餅の葉っぱを食べさせようという作戦です。「桜餅も柏餅も、季節ものだから、葉っぱも一緒に食べるのが通なんだよ」などと、おひな祭りに桜餅を桜の葉も一緒に食べながら、みんなで伏線を張っておいたのです。
 彼は5月の端午の節句には、みんなの期待にしっかりと応えてくれました。「柏は桜の葉っぱよりも少し固いですねぇ」と言いつつ、柏餅を葉っぱごと食べてしまいました。回りのみんなは涙が出るほどの大笑いです。
 そんな彼も、まもなく司法試験に合格し、弁護士になりました。学究肌でしたので、理論的に鋭い弁護士になるだろうとは思っていましたが、彼は経営的にも素晴らしい手腕を発揮して、現在では地方でイソ弁を6人も抱える大事務所を経営する弁護士になっているのです。およそ清濁併せ吞むなどという感じとは遠い彼ですので、本来の才能そのままに、真っ直ぐに大きな存在になったのだと思います。
 いつも、この季節に柏餅を食べるたびに、彼のことを思い出します。
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(弁護士 佐藤裕一)