杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

金華山

 今年の海の日、家族一同、女川港から出ている船で金華山に行ってきました。
 女川~金華山航路は、弁護士登録直後に担当した事案で携わったことがあり、もともと個人的な思い入れもありました。しかし、仕事として対応をしていた当時も、また、事件が終結した後も、女川に関わる機会はあっても、実際に海を渡って金華山まで行くという機会にはこれまで恵まれませんでした。
 東日本大震災では、運航会社の事務所が入居していた海沿いの「マリンパル女川」が津波により壊滅的な被害を受けたものの、「アルティア号」と「ベガ号」という2隻の船は沖に出ており無事だったそうです(ただ数日間沖に出たままで女川に戻れなかったとのこと)。震災後、定期船の運航は休止となり、2隻の船は女川町内の離島航路で町民の足となったり、他の場所に「出稼ぎ」に出ていたものの、平成25年4月にようやく運航再開が可能となったそうです。
 現在、女川〜金華山航路は休日限定で1日1往復での運航となっており、参拝客数(乗客数)自体は回復傾向にあるものの、震災前の3分の1、往時と比べると10分の1以下に留まるそうです。
 乗船したのは定員65名の「アルティア号」。仕事で関与していた当時は、何度もその来歴や名前を見聞きして、繰り返し書面にしたためたことがあったので、実際に乗ると感慨深いものがあります。この日は三連休で天気も良かったこともあって、乗客はほぼ満員でした。
 乗船時間は片道30分弱。風が出ていたため若干揺れることもありましたが、運航会社の社長さんによる金華山の故事来歴や震災当時の解説もあり、あっという間に金華山の港に入港しました。港から黄金山神社までの道は結構な高低差があり、車の送迎もありますが、茹だるような太陽の下ゆっくりと歩いて上りました。真っ青な海とそこに向けて落ちていくような港までの急勾配の下り道、その辺で自由に草をはむ鹿の親子連れといった高台からの眺めは、沖縄の離島にも似た感じです(沖縄では鹿ではなくヤギですが・・・)。
 個人的にはお金に強い執着はないつもりですが(笑)、せっかくですので黄金山神社でお参りをした後、パワースポットとされる銭洗弁財天の「銭洗場」でもっていたお金を洗い、世の不浄を落としてきました(教えに従い、洗ったお金は一応いまも財布の中に大切にしまっています。)。
 金華山というと、正直なところ、個人的に遊びに行くには若干ハードルがなかった訳ではありません。しかし、実際に行ってみると、黄金山神社の参拝だけではなく、非日常を味わうことのできる船旅や三陸復興国立公園に指定されている海山(と鹿)、訪れる度に復興を遂げその姿形を変える女川の街も含めて、子連れでも楽しめるとても魅力的な目的地でした(まさに事件対応の中で主張していたとおりでした!)。人がまばらなこと自体もその魅力の1つなので、昔のように多くの参拝客が押し掛けるのはそれはそれで複雑ですが、機会があれば是非みなさんも足を運んでみてください。
 黄金山神社は三年続けて参拝すると、一生お金に困らないとされています。神頼みをしようとは思いませんが、せっかくなので復興支援もかねて個人的にもあと二回行ってみたいと思います。

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(弁護士 三橋要一郎)