杜(MORI)の 四季だより

杜の都、仙台に事務所を構える弁護士法人杜協同の弁護士たちが綴るリレーエッセイ

大曲の花火

毎年、8月の終わり頃に東北弁連主催の夏期研修が行われます。

今年は8月27日・28日に八戸で行われ、私も参加してきました。皆新幹線で行くのですが、私は車で行ってきました。というのは、帰りに寄り道をして、秋田県大仙市(合併前の大曲)の全国花火競技大会を観てくることを思いついたからです。

この大曲の花火は、花火を作った本人が打ち上げなければならないというルールがあり、最優秀者には内閣総理大臣賞などが授与される、全国の花火師が目標とする日本一格の高い花火大会なのだそうです。私は秋田県出身なのに、恥ずかしながら今まで一度もこの大曲の花火を見たことがありませんでした。大曲の花火が100周年を迎える今年、奇しくも東北弁連の夏期研修の日程が重なったので、これはということで行ってきました。

大曲の人口は約4万人(大仙市全体でも約8万人)のところ、花火の日だけは何十万人が大曲を訪れます。しかも今年は100周年ということで、80万人(過去最高)が押し寄せました。そのため、通常は観覧場所の確保が一つ問題なのですが、私の場合、兄が大曲に住んでいたのでその点は心配ありませんでした。渋滞を抜けて兄の家に着くと、花火が打ち上げられる河原がすぐ目の前という絶好の立地でした。弥が上にも期待が高まります。

大曲の花火には、昼花火・10号割物花火・創造花火の3部門があるのですが、私は夜に行われる10号割物花火・創造花火を観ました。素人からみると、前者は規定演技で、花火そのものの出来映えを競うもの、後者は自由演技で、音楽に合わせて打ち上げ方・見せ方も含めて競うもの、というところでしょうか。さすがに全国から選抜された27業者、見たことのないような花火もたくさんあって、あっという間に2時間が経ってしまいました。そして圧巻だったのが「大会提供花火 ワイドスターマイン」です。私は知らなかったのですが、毎年この大会の目玉とされているのだそうで、上下左右に視界に入りきらないほどの範囲で絶え間なく花火があがっていました。最後に秋田県民歌にのせて花火が打ち上げられ、秋田県民として郷愁をかき立てられるとともに、夏の終わりを感じてきました。文章では表現しきれないので、花火が好きなら是非一度観に行ってみることをおすすめします。

夏の終わりというにはまだまだ暑い日が続くようですが、良いものを見て乗り切る力をもらったような気がします。

 (弁護士 伊藤敬文)